野宿者支援の5人が逮捕される 2006年10月3日


 9月27日に釜ヶ崎地域合同労働組合の稲垣さん、西成公園のIさん、Tさん、Kさん、釜ヶ崎パトロールの会のMさんら5人が「業務威力妨害」「暴力行為等処罰に関する法律違反」の容疑で逮捕されました。稲垣さんは今年1月30日の靭公園での行政代執行の時に足を骨折する大怪我を市の動員した警備員により負わせられましたが、そうした事は問題にならず(されず)、今回も新聞など報道では警察の情報でしょうか、6月に市職員が手を掴まれた、カメラを手でふさいだ、羽交い絞めにされたと言うものです。それがたとえ事実だとしても何ほどの事か、と思うのですが、こうした背後に行政は組織的に野宿者を排除して行こうという姿勢が打ち出されていると感じられます。

 野宿している人の問題は、人がそれぞれいろんな問題を抱えているように、解決する事が難しい、ひょっとすると解決しない問題がたくさん含まれて居ます。排除すれば解決、かわいそうな人だから与えればとか、なまけものだから鍛えなおせばと言うような発想は、短絡的なアパルトヘイトです。今回の事も過激な活動家の暴挙であり、当の野宿者、善良な支援家たちは迷惑している、と言うような捉え方や報道があるかも知れません。

 

抗 議 声 明

 昨日午前6時ごろ、私たちの仲間が4名、大阪府警により令状逮捕され、さらに午後9時ごろ、1名が逮捕されました。
 釜ヶ崎地域合同労組の稲垣さん、西成公園に住む二人、西成公園よろず相談所の仲間、釜ヶ崎パトロールの会の仲間一人です。4名についての被疑事実は2件の「威力業務妨害」と「暴力行為等処罰に関する法律違反」。釜パトの1名についてはまだ詳細はわかっていません。

 私たちは即日、野宿者運動団体、支援団体、共闘してきた労働組合などで集まって話し合い、「9・27弾圧救援会」を立ち上げました。救援会では今回の弾圧を「西成公園などでの強制排除を織り込んだ、計画的な運動つぶし」とみています。
 私たちは、人間としての尊厳を守り「生き抜く」ための闘いとして貧困と排除と抗し闘ってきた野宿の仲間たちと、これからも一緒に闘い続けるという決意を強くしています。そして、あからさまな運動つぶしによってその非人間性をさらけだした大阪市・大阪府警をけっして許さず、5名の仲間の奪還と運動の前進を勝ち取りたいと思います。

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 稲垣さんは、定期的に大阪市が清掃・消毒に入る汐見橋(大阪市浪速区)周辺に住む仲間の小屋で、清掃作業の際に不当な嫌がらせがないように監視する行動に継続的に取り組んでいます。4月27日(木)の同作業の際、市職員(大阪市建設局)が当人の許可無くビデオ撮影しているのを稲垣さんが抗議したことをもって、「威力業務妨害」と「暴行」としているものです。報道されたような手首をつかんだとか胸を小突いたという事実はありません。
 稲垣さんは数年来、西成暑の警察官による釜ヶ崎労働者への暴行を糾弾する取り組みを続けていました。また、最近では「あいりん職安」を糾弾する取り組みに活発に取り組み、さらに汐見橋の現場では、市職員が仲間の小屋に「撤去告知ビラ」をべたべた貼り付ける行為を大阪弁護士会に人権救済の申し立てをして、弁護士会から市に対する「勧告」を引き出しました。今回はそうした一連の闘争への報復的弾圧という見方もあります。

 もう1件の被疑事実は、6月12日、西成公園の排除を巡る攻防のなかでのことです。西成公園では、近所の公園で強制的に排除され仲間を受け入れて新規に小屋を建てています。排除の際、大阪市は代替居住地も示さず、将来展望の見えない自立支援センターへの入所を勧めるだけでした。住処を失った仲間に、西成公園の労働者が「じゃあうちにおいでよ」と声をかけたのでした。このように西成公園では、排除に抵抗して生き抜くため、仲間の暮らしを仲間で支えようと、新たな仲間を迎え入れてきました。ですが大阪市はここでも「新規建設は許さない」と圧力をかけてきました。この日も「撤去勧告」に来ていた公園事務所職員(大阪市ゆとりとみどり振興局)に対する抗議行動を行っていました。 西成公園の3人は、稲垣さんや釜パトメンバーとともに数年来の反排除の取り組みに参加してきた仲間です。昨年夏、西成公園に強制排除の危機が迫ったときも、うつぼ・大阪城公園の行政代執行の時も、私たちは一緒に闘いました。

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 救援会では、大阪市はこの冬にも強制排除を再び強行してくる可能性があると見ています。そのための事前弾圧として5名を逮捕したのだと考えています。
 西成公園だけのことではなく、来年IAAF世界陸上が開催されるうえ、08年には「指定管理者制度」が導入される長居公園、08年に日本で開催されるG8サミットの開催候補地になっている大阪城公園、総合的な観光化をすすめようとしている中之島一帯でも、強制排除の可能性があると考えています。
 大阪市はいま、「行政改革」の名のもとに「経済再生」を推し進めています。野宿者とブルーシートのテント、それを支える運動を「経済再生」のための「阻害要因」とみなして徹底的に排除しようとする、大阪市の強い決意を感じます。富める者のための「改革」や「経済」のために、野宿労働者をはじめ貧しい者たちが排除される社会状況に、強く抗議します。

 私たちは逮捕された仲間を支え続け、貧困と排除とどこまでも闘い続けます。
 今後ともご注目、ご支援をよろしくお願いします。

 2006年9月28日
9・27弾圧救援会
  連絡先:NPO法人釜ヶ崎医療連絡会議
(TEL/FAX 06-6647-8278 E-Mail:iryouren@air.ocn.ne.jp)

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【お願い】
●5名の仲間の同時逮捕、しかも3件別個の被疑事実ということで、救援会では弁護士費用や訴訟費用が不足しています。たいへん恐縮ですが、みなさまのご支援におすがりするほかない状況です。どうかよろしくお願いします。

 カンパ振込先
郵便振替口座 00940−5−79726(加入者名:釜ヶ崎医療連絡会議)
通信欄に9・27弾圧救援と書いてください。

●以下の連絡先に抗議の電話・FAXをお願いします。
大阪市経営企画室             06-6208-9720 
大阪市ゆとりとみどり振興局 総務部 庶務課 TEL06-6615-0614 FAX06-6615-0659
大阪市建設局 管理部 路政課        06-6615-6675
大阪市市民局 市民部
広聴相談課      TEL:06-6208-7333 FAX:06-6206-9999
大阪府警察本部              TEL 06(6943)1234(代表)
西成警察署                06-6648-1234

 

 

日本橋公園

 200652

 日本橋公園は浪速区日本橋3丁目(でんでんタウン)、日本橋小学校の裏にある。今日そこに残っている6件のテント小屋のうち5件が、天王寺動植物公園事務局によって撤去された。同局は2月末ごろより頻繁に公園を訪れ、1人のテント生活者を数名で取り囲み、テントを撤去する旨の同意書に署名をすることを強要し続けていた。同公園に居住していた人の話では、こういったことが毎日行われ、拒否すればかなりの暴言を吐かれるといい、この事態にうんざりし同意書に署名せざるを得なかったとの事だ。今日撤去されたテント居住者6名の内、1名は生活保護を受けられるそうだが、それ以外は行き先も決まっていない。

 

 テント生活者の話では午前9時過ぎ、テントで寝ていた所、外で物音がするので見てみると、公園事務所施設管理担当課長の阿部を筆頭に約20名の公園事務局職員が現れ、テントを破壊し出した。「何すんねん、必要な荷物も持ち出してへん」と言うと、「同意書書いてるんや、出て行かんかい」と、問答無用でテントや持ち物全てを持ち去られてしまった。この阿部という人は説得という名目で恫喝まがいのことをするので有名だ。支援活動家が駆けつけると、撤去作業は続けられたが、当事者への物言いはかなり柔らかいものに変わった。

 

 荷物を全て持ち去られた人の、荷物の返還を同氏に要求するが、(同意書に記載された期限が)「1ヶ月あったやないか」、などと答え明確な答えは得られない。「今日やるんやったら昨日(51日)に、ひとこと言いに来てもええやろ」「期限が4月末なんやったら、なんで昨日来ぇへんねん」と問うと、「すんませんな、今度から即日(撤去)するようにしますわ」、「いきなり来たのではない、工事説明会を開こうとしても、こいつら(支援団体)に妨害された」と答える。今回の撤去に関しても、「行政代執行のような事をしたくないから、話し合いをし、同意書に署名してもらい協力してもらった」との事だ。しかし行政代執行は、当事者に代わって物品などの撤去を行う法的に は正当な手段だが、今回の同意書はそういったものではなく、非常に問題のある行為だ。支援団体と当事者は今回の公園事務局の行為を訴える準備を進めている。

 

 撤去されたテントの跡にはすぐに立ち入り禁止のロープが張られ、作業は午前11時過ぎに終了した。行き先の決まっていない人については、支援団体側で当座の宿所を提供したり、身の回りの荷物を持ち出す事ができた人にも、保管場所を提供し、生活が維持できるよう全力で協力している。

 

天王寺公園外周遊歩道・JR環状線沿い歩道のテント小屋の撤去

2006417

天王寺公園南側外周遊歩道にあるテント小屋の撤去が行われました。この区域に該当する多数(約15張か?)のテント小屋のうち、この日撤去されたのは6張で、退去することに同意した上での撤去だそうです。残りは20日に行うと聞きました。天王寺公園事務所の職員が関わって、生活保護を受給される方も何人か居るそうですが、すべてではありません。生田さんの報告では生活保護が10名、行き先未確定が20名との事ですが、これには遊歩道入口部分の11張のテント小屋も含まれているかも知れません。また道路歩道上のテント小屋については薬剤散布のため一時退去が求められていました。

 

 2006421

すでに遊歩道上のテント小屋は撤去され、フェンスで封鎖されています。遊歩道入口部分の11張のテント小屋は工事区画に該当しており、この日期限で大阪市建設局、天王寺警察署連名の撤去通告文が出ていました。3名の方に話しを聞くと、行く宛があるので3人一緒に出るとの事で、荷造りに忙しそうで、あまり込み入った話はしませんでしたが、他の地域への移動のようです。8時ごろ、JR天王寺駅から新今宮方向へ台車を押していく3人の姿を見掛けました。南北の道路歩道上の薬剤散布に該当するテント小屋は朝早くから、自主的に解体し一時退去を進めています。この時点の話では、今日は一時的に解体して明日には元に戻すということでした。この自主的な解体は南北の歩道上にまばらにあるテントですが、とり決めがあるかのように足並みが揃えて行われていました。

 午前9時ごろから撤去作業が行われました。作業は大きく3つに分けられ、遊歩道入口の11張が大阪市建設局、道路歩道上北側の放置か居住者の確認できなかったテント小屋は大阪市環境事業局、遊歩道新今宮側に残った12張のテント小屋は天王寺公園事務所があたっていました。天王寺警察署とその後薬剤散布に来ていた大阪市健康福祉局の職員を含めて約90名動員されていました。

  

 午後5時ごろ、大阪市側の作業はすべて終わっていて、撤去されたところには建設局のフェンスが立っています。自主解体していた歩道上のテント小屋は、元に戻し出していて、22日午後には元の通りに戻っています。見た限り、23の不在、放置テントの以外は撤去されては居ないようで、自主退去していない、生活の形跡のあるテントもそのままでした。ここも撤去後フェンスが張られています。遊歩道新今宮側の1張のテントは、ジャンジャン横丁入口で露天を出している方の倉庫だそうで、生活の場は他にあるようです。21日朝に荷物を運び出す姿がありましたが、22日午後もフェンスで囲われていますがテントは残っていました。