協友会通信65号より
 

200611月発行
釜ヶ崎キリスト教協友会通信65
大阪市西成区萩之茶屋2-8-9 旅路の里気付
TEL/FAX 06-6631-2720
共同代表 秋山 仁 吉岡 基
 

 

釜ヶ崎キリスト教協友会の活動へのご支援、ご協力に感謝いたします。

  釜ヶ崎では、今年も「越冬」の準備が始まっています。年末年始の約2週間にわたって行われる「釜ヶ崎越冬闘争」は、今年で37年目を迎えます。

釜ヶ崎キリスト教協友会は、この越冬闘争に参加しつつ、越冬闘争終了後の寒さが一層厳しくなる1月から2月一杯まで、夜まわりで野宿生活者と出会いながら、必要とされる活動を行っていきます。

 

釜ヶ崎と野宿生活者を取り巻く状況

 この10年来、釜ヶ崎の労働者に対する日雇求人は落ち込んだままです。去年よりは求人数が増えたものの、体力的に無理のできる一部の労働者以外は、高齢者を中心に長い失業状態が続いています。

最低限の収入が無ければ路上での野宿を強いられます。襲撃や嫌がらせを恐れながら毎日寝床を探す過酷な生活です。雨露をしのぎ、自分の命を守ろうと公園や河川敷にテントや小屋掛けをしても、追い立てや強制排除という恐怖が襲ってきます。野宿生活者は、一時的に病院や施設に入っている(退院・退所をしても帰る家の無い)人も含め、大阪市だけで1万数千人に及ぶと言われます。今年も冬を待たずして、路上やテント・小屋の中で失われた命の報告が届いています。

 

行政代執行と不当弾圧

今年の130日、大阪市は、二つの公園内の野宿生活者22人に対し、行政代執行という強制排除を行いました。市の職員と警備員約700名を動員し、1000万円以上の費用を掛けた行政代執行は、一人も野宿生活からより良い生活へ導けなかったばかりか、結果的に別の公園などへ追い立てただけの許せない行為でした。大阪市はその後も各地の公園で執拗な追い立てを繰り返しており、野宿当事者や支援者も抗議を続けています。釜ヶ崎キリスト教協友会は大阪市に対し、追い立ては何の解決にもならないことであると抗議をすると共に、野宿を余儀なくされる人が「人」として命と人権が守られ、野宿をしなくても良い生活が送れるための施策を行うよう訴えています。

 927日、野宿当事者や支援者5名が逮捕されました。(詳しい内容は別項参照)野宿生活者の命と人権を守るため、野宿の仲間と支え合いながら大阪市の強制排除や施策に抗議し、話し合いを続けていた人たちです。

 釜ヶ崎キリスト教協友会は、今回の逮捕を野宿生活者の命と人権を守る闘いへの弾圧と捕らえ、裁判や救援活動を支援していきます。

今後とも釜ヶ崎キリスト協友会へのご支援ご協力をお願いいたします。

 

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私たちは大阪市の野宿者強制排除

ごり押しのための5人の仲間への不当な逮捕に抗議します!


反弾圧9・27救援会

2006年10月15日

 9月27日午前6時ごろ、私たちの仲間が4名、大阪府警により令状逮捕され、さらに午後9時ごろ、1名が逮捕されました。

 逮捕されたのは、釜ヶ崎地域合同労組の稲垣さん、西成公園に住む2人、西成公園よろず相談所の仲間、釜ヶ崎パトロールの会の仲間1人です。

 大阪府警の逮捕状によれば、容疑は2件の「威力業務妨害」と「暴力行為等処罰に関する法律違反」などとなっています。

 

 私たちは即日、野宿者運動団体、支援団体、共闘してきた労働組合などで集まって話し合い、「反弾圧9・27救援会」を立ち上げました。

 私たち救援会では、今回の弾圧を「西成公園などでの強制排除を織り込んだ、計画的な運動つぶし」とみています。

 私たちは、人間としての尊厳を守り「生き抜く」ための闘いとして、貧困と排除と抗して闘ってきた野宿の仲間たちと、これからも一緒に闘い続けるという決意を強くしています。そして、あからさまな運動つぶしによってその非人間性をさらけだした大阪市・大阪府警をけっして許さず、5名の仲間の奪還と運動の前進を勝ち取りたいと思います。

 救援会では、大阪市はこの冬にも強制排除を再び強行してくる可能性があると見ています。そのための事前弾圧として5名を逮捕したのだと考えています。

 西成公園だけのことではなく、来年IAAF世界陸上が開催されるうえ、08年には「指定管理者制度」が導入される長居公園、08年に日本で開催されるG8サミットの開催候補地になっている大阪城公園、総合的な観光化をすすめようとしている中之島一帯でも、強制排除の可能性があると考えています。

 大阪市はいま、「行政改革」の名のもとに「経済再生」を推し進めています。野宿者とブルーシートのテント、それを支える運動を「経済再生」のための「阻害要因」とみなして徹底的に排除しようとする、大阪市の強い決意を感じます。富める者のための「改革」や「経済」のために、野宿労働者をはじめ貧しい者たちが排除される社会状況に、強く抗議します。

 私たちは逮捕された仲間を支え続け、貧困と排除とどこまでも闘い続けます。日本だけではなく、世界各地で戦争や貧困・抑圧・排除とたたかう人々と心は一緒です。弾圧に対する抗議アピールへの、多くの皆さんの賛同とカンパを訴えます。

 

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[事実経過]

正当な抗議行動が、どうして「業務妨害」で「暴行」になるの?!

 稲垣さんと西成公園の野宿労働者Tさんが逮捕されたのは、4月27日(木)に大阪市の清掃作業をビデオカメラで記録していた職員に暴行した、という「容疑」です。定期的に大阪市建設局は、清掃・消毒に入る汐見橋(大阪市浪速区)周辺で野宿生活する仲間の小屋で、清掃作業の際に不当な嫌がらせがないように監視する行動に継続的に取り組んでいます。4月27日(木)の同作業の際、市職員(大阪市建設局)が当人の許可無くビデオ撮影しているのを稲垣さんが抗議したことをもって、「威力業務妨害」と「暴行」としているものです。報道されたような手首をつかんだとか胸を小突いた、という報道は大阪市・警察の説明をそのまま鵜呑みにしたものです。

 「ほら、野宿者支援する連中なんて、こんな乱暴なヤツらだ」と悪いイメージを振りまく目的を持ったでっち上げです。暴行監視行動に来ていた人の「肖像権」を犯してまで野宿者支援の運動を憎み、潰したくてたまらない大阪市・大阪府警の本音が見えたといえるでしょう。

 また稲垣さんは数年来、西成署の警察官による釜ヶ崎労働者への暴行を糾弾する取り組みを続けていました。また、最近では「あいりん職安」を糾弾する取り組みに活発に取り組み、さらに汐見橋の現場では、市職員が仲間の小屋に「撤去告知ビラ」をべたべた貼り付ける行為を大阪弁護士会に人権救済の申し立てをして、弁護士会から市に対する「勧告」を引き出しました。今回の稲垣さんへの逮捕は、そうした一連の闘争への報復的弾圧といえるでしょう。

 もう1件の被疑事実は、6月12日、西成公園でのテント・小屋への排除を巡る攻防のなかでのことです。

西成公園では、大阪市によって近所の公園から強制的に排除された仲間を受け入れて、新規に小屋を建てています。

排除の際、大阪市は代替居住地も示さず、将来展望の見えない、劣悪な環境の自立支援センターへの入所を勧めるだけでした。住処を失った仲間に、西成公園の労働者が「じゃあうちにおいでよ」と声をかけたのでした。このように西成公園では、排除に抵抗して生き抜くため、仲間の暮らしを仲間で支えようと、新たな仲間を迎え入れてきました。

 

不当弾圧許さず、私たちが生き抜くためのたたかいを!

 ですが大阪市は、ここでも「新規建設は許さない」と圧力をかけてきました。この日も「撤去勧告」に来ていた公園事務所職員(大阪市ゆとりとみどり振興局)に対する抗議行動を行っていました。この時に、職員に暴行したというのです。しかし、大阪市への毅然とした抗議はおこないつつも、「非暴力」でたたかうことで意思統一していたのです。

 暴力というのは、大阪市や大阪府警のように、野宿する仲間と誠実に話し合いすることもなく、お金(私たちの税金!)や権力(弱い者いじめする「業務」などあってはなりません)を背景に、一方的に懸命に毎日を生き抜く野宿生活者の仲間たちとその支援者を排除し、潰そうとする大阪市・大阪府警にこそふさわしい言葉です。

 今回逮捕された5人は、ここ数年来の反排除の取り組みに参加してきた仲間です。昨年夏、西成公園に強制排除の危機が迫ったときも、うつぼ・大阪城公園の行政代執行の時も、私たちは一緒に闘いました。

 米国主導のグローバリズムが世界をおおい、戦争や貧困が私たちに襲いかかろうとしています。そして日本でも、福祉の切り捨てや格差社会が拡大再生産されています。私たちの生存そのものが危うい時代です。野宿生活者への排除の問題はこうした問題の延長線上にあります。

 それぞれの地域・職場・学園などで奮闘しておられる皆さん!今回の私たちへの「反弾圧」「反排除」への闘いへのご支援・ご注目を心より訴えます。それぞれ持ち場は違っても、心をともに、たたかいましょう!

 

《皆さんへのお願い》

@     この抗議アピールへの賛同を募ります(団体は3000円の賛同金をお願いします。連絡先は下記を参照下さい)。

A     弁護士費用など、何かと必要になります。たいへん恐縮ですが、みなさまのご支援におすがりするほかない状況です。カンパへのご協力をどうかよろしくお願いします(振込先は、下記を参照下さい)。

B     このアピールを多くの人に広めてください。

C     以下の連絡先に抗議の電話・FAXをお願いします。
大阪市経営企画室             電話・06-6208-9720
大阪市ゆとりとみどり振興局 総務部 庶務課 電話・06-6615-0614 FAX06-6615-0659

大阪市建設局 管理部 路政課        電話・06-6615-6675
大阪市市民局 市民部 広聴相談課      電話・06-6208-7333 FAX:06-6206-9999
大阪府警察本部(本部長 近石康宏)    電話・06(6943)1234(代表)
西成警察署(署長 徳永 幸雄)      電話・06-6648-1234
平野警察署(署長 原本 哲昭)      電話・06-6794-1234
大淀警察署(署長 瘟ェ 偉光)      電話・06-6376-1234

 

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2006年10月15日
反弾圧9・27救援会
連絡先:大阪市西成区太子2-1-2 NPO法人釜ヶ崎医療連絡会議内
TEL/FAX 06-6647-8278
カンパ振込先
郵便振替口座 00940−5−79726(加入者名:釜ヶ崎医療連絡会議)
       通信欄に「9・27弾圧救援」と明記してください。
E-Mail:iryouren@air.ocn.ne.jp

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釜ヶ崎キリスト教協友会「秋期セミナー」の報告と「越冬セミナー」のお知らせ

 

 例年は年2回、夏と冬に行われているのセミナーですが、今年は夏のセミナーを繰り延ばし9月30日から10月3日、前頁の「げんきまつり」もスケジュールに組み込み「秋期セミナー」として行いました。1日目はNHKで放送された「ワーキングプア」のビデオを見て、現在の格差社会について考えました。2日目は「野宿者襲撃論」を執筆した生田武志さんを講師に招き、野宿生活者を取り巻く問題を学びました。3日目は「げんきまつり」にスタッフとして参加、あわただしい束の間の時間に釜ヶ崎で生きる労働者のげんきを感じ取ってくれたと思います。

 本格的な越冬期に入るにあたり、協友会では釜ヶ崎や公園、あるいは路上での生活を余儀なくされている人々や、そうした事を生み出しているわたし達の社会について考え、理解を深める為のセミナーを12月31日から1月3日の日程と「人を人として−奪われる場所・生活・いのち−」をテーに開催します。「越冬セミナー」へみなさんのご参加をお待ちしております。(詳細は別紙をご覧ください)

 

釜ヶ崎キリスト教協友会 秋期セミナーに参加して

 秋のセミナーのお知らせをいただき、これまで越冬の時期に訪れることの多かった釜ヶ崎のまた違った顔をみることができるのではないか、という思いで参加を決めました。

 秋の釜の街は、やはり真冬と違い活気もあり、労働者の町であることを感じさせてくれました。セミナーの分かち合いからは、釜の現状や襲撃の実態をさらに詳しく学ぶことができました。また、釜だけではなく、社会全体の問題として捉えてゆく必要があるワーキングプアの問題についても考えるきっかけをいただきました。その中で、まったく見えていなかった社会の構造上の問題に気づくことができました。と同時に、その社会を作っているのが自分たち一人一人だということも忘れてはいけないと強く感じました。

 セミナー2日目は、労働体験として特別清掃に参加し、越冬の時期の炊き出しや夜回りの時には聞けなかった労働者の方々の生の声を聞くことができました。本や講演などで知識として現状の厳しさをわかった気でいましたが、実際に労働者のみなさんに話をしていただき、仕事の少なさや福祉の不十分さ等を実感しました。

 私は、来年から小学校教員として教育の現場に入ります。そこで私は釜ヶ崎で学んだこと、気づいたことを子どもたちに伝えていきたいと考えています。釜だけではなく社会全体の諸問題に対して、教育を通じて根底からの解決をめざしていきたいと思います。より多くの人が幸せのうちに社会生活を送れるよう、まずは私からはじめていきたいです。最後になりましたが、多くの学びと気づきをくださった、協友会の方々、セミナー参加者の皆様、そして出会った釜の労働者の皆様ありがとうございました。

(A.S)

 今回初めて釜ヶ崎を訪れてみて、今までの自分の中の価値観が大きく変わりました。

 はじめは、道で寝ている人や座り込んでいる人たちが思った以上にたくさんにて、本当にここが日本なのだろうかという驚きがありました。お酒やごみのにおいと町の独特な雰囲気があって、労働者のおじさんたちもなんとなく怖いような感じがしました。しかし、一緒に清掃活動をしたり、元気まつりでゲームを楽しんだりしているうちに、労働者のおじさんたちをとても身近な存在に感じるようになりました。一緒に話をしてみると多くの人がとても親切で、本当にやさしいおじさんたちでした。

 どうしてこの普通のおじさんたちが野宿をしいられているのか。今までは漠然としていた社会の問題がおじさんたちとつながって、具体的に目の前に現れてきたかのようでした。

 今回、このセミナーに参加して本当によかったと思っています。今まで自分がどれだけ何も知らずに生活していたかということを知ることができたし、もっと社会のことについて知りたいと思いました。また、釜ヶ崎に暮らしている人たちの強い繋がりと、温かさを感じることができました。

 釜ヶ崎で出会えたみなさん、本当にありがとうございました。また釜ヶ崎を訪れたいと思っています。

(A.S)